クリスマスについて

日本のクリスマスは、楽しいイベントの1つという意味合いが強いですよね。 11月から早々に街のあちらこちらで、クリスマスカラーと呼ばれる赤・緑・白などの装飾品が飾られ始め、「ジングル・ベル」の曲がどこからともなく聞こえ出すと、「もう12月なんだなぁ」と感じる方も多いのではないでしょうか。でも、本当のクリスマスの意味合いも知っておきたいですよね。

クリスマスは何の日か

天使 クリスマスは、神の子であるイエス・キリストが人となって、約2000年前にこの世に誕生したこと(降誕)を祝うキリスト教の記念日・祭日です。
12月25日がこれにあたります。

前夜の12月24日は、英語でクリスマス・イブと呼びます。
「イヴ(eve)」は「evening(夜、晩)」と同義の古語「even」の語末音が消えたもので、実は「クリスマス・イブ」は「クリスマスの夜」という意味になるのです。

ユダヤ暦およびそれを継承する教会暦では、日没をもって日付の変り目とするため、伝統的な教会などでは、クリスマス・イヴの日没時からクリスマスと認識するので、実は、「クリスマス・イヴ」は「前夜」ではなく既にクリスマスに含まれているというわけです。

※正教会のうちユリウス暦を使用する国や地域では、グレゴリオ暦の1月7日に該当する日にクリスマスを祝います。

クリスマスの語源

赤いキャンドルとツリー クリスマスの語源は、ラテン語の「クリストゥス・ミサ」の略で、これは「キリスト(Christ)の礼拝(mas)」という意味になります。

「Christmas」は「X'mas」と表記することもあります。
「Xmas」の最初の文字「X」は、正しくはギリシャ文字の「X(カイ)」で、ギリシャ語で「油をそそがれた者」と直訳され「救世主」や「キリスト」を意味する言葉、「Xnstos(クリストス)」の頭文字です。
ですから実は、「X'mas」と、アポストロフィを入れるのは間違いで「Xmas」または「X-mas」と表記するのが正しいのです。
いつからなぜ「X'mas」と表記するようになったのかは謎です(^^;)

ドイツ語でクリスマスは「Weihnachten(ヴァイナハテン)」、フランス語は「Noel(ノエル)」、スペイン語は「Navidad(ナビダー)」、ラテン語は「Christi Natalis(クリスティ・ナタリス)」と呼びます。

ヨーロッパ各国のクリスマス

ミニサンタ達 ヨーロッパをはじめとするキリスト教国では、会社や学校がクリスマス当日よりクリスマス休暇に入るため、実家から離れていても故郷に帰郷して、ほとんどの人が家族と一緒に過ごします。
家族とクリスマス料理を堪能したり、教会のミサへ行ったりするのが聖なる日の過ごし方です。
日本のように恋人と2人で過ごすロマンチックな日という感覚は、ヨーロッパや欧米では一般的ではありません。

寒さの厳しいヨーロッパ諸国では、クリスマスまでの約4週間はイエス・キリストの降誕を待ちのぞむ期間としています。
この期間は、待降節(アドヴェンド)と呼ばれ各地でクリスマスマーケットと呼ばれるお祭りやパレードが催されます。
電飾できらびやかに飾られた移動遊園地や、クリスマス市場、屋台などがたくさん並び、クリスマスまでの期間を盛り上げてくれます。人々は家族と暖かい部屋のなかで感謝と愛を込めてクリスマスを祝うのです。
 

子供達は、カレンダーの日付部分にチョコレートなどのお菓子が隠された窓がついた「アドベントカレンダー」を毎日めくりながらクリスマスのご馳走やプレゼントを楽しみにするのです。
ヨーロッパの国の一部では、サンタクロースのモデルである聖ニコラウスの誕生日、 12月6日にプレゼントを贈る習慣もあるようです。

◆古いキリスト教の国であるスペインやイタリアでは、クリスマスは12月25日に始まり1月6日に終わります。
12月23日頃に「プレゼーピオ (キリスト生誕の場面などを再現した人形など) 」やツリーをを飾り付けます。
12月24日の夜にクリスマス・イヴとして祝いプレゼントの交換などを行いますが、プレゼントを開けるのはエピファニア (Epifania 救世主の公現) の日、1月6日です。
1月6日が過ぎて初めて飾りつけも片付け始めます。

◆スペインの子供達は12月25日に、プレゼーピオの東から来た3人の王様役の人形をキリストの生まれる馬屋の飾りから離れた場所に置き、毎日王様の人形を少しずつこの馬屋へと近づける役を担うそうです。
そして1月6日に、3人の王様人形を幼いキリスト人形に出会わせキリスト誕生を祝います。
子供達は、この3人の東から来た王様からのプレゼントを1月6日の朝に見つけることになります。

◆イタリアでも最近は、サンタクロースが登場するそうですが、サンタクロースではなく「バッボ・ナターレ (Babbo Natale)」 と呼ばれるそうです。
昔からの風習で、1月6日に恐い魔女のベッファーナ (Beffana) が良い子にはお菓子をプレゼントしてくれます。
良い子にしていたのに恐い思いをしなければならないとは・・・子供達にとっては複雑な心境でしょうね。

◆オランダやベルギー北部、ドイツの一部では、「Nikolaus(ニコラウス)の日」と呼ばれる12月6日に、なんとサンタクロースはトナカイではなく白馬に乗ってやって来るそうです。
各家では前の晩、白馬が寄ってくれるように角砂糖とにんじんを家の前に置いておきます。
子供たちは小さなプレゼント(お菓子など)をもらうそうですが、プレゼントをもらえるのは良い子だけで、悪い子にはKnecht Ruprecht(クネヒト レプレヒト)という別の人がムチを持ってやってきて叱るのだと言われています。
日本の秋田のなまはげのようですね~。

◆オランダのクリスマスは、11月に行われる聖ニコラスのパレードから始まります。 オランダではクリスマスが2度あると言われます。
12月5日の聖ニコラス誕生日前夜祭 (シント・ニコラス祭) と12月25日のクリスマスが賑やかに行われます。
12月5日のシント・ニコラス祭は子供が楽しめるお祝いで、プレゼント交換もこの日に行います。このお祭が終わると街に一斉にツリーやサンタクロースのオブジェなどが飾られ、クリスマスムードが高まります。
12月25日のクリスマスは、少し宗教色が強く厳粛に祝う日とされています。
※聖ニコラスについては『クリスマスの謎』のページをご参照ください。

◆ドイツでは、クリスマスを「ワイナハテン (Weihnachten)」 と言います。
ドイツのクリスマスケーキに相当するものにシュトレンがあり、クリスマス期間中は木の実やドライフルーツの入ったシュトレンを家族で何度も食べます。

◆フランスでは、クリスマスを「ノエル (Noёl) 」と呼びます。
ドイツのクリスマスの習慣と似ていますが、イタリアのプレゼーピオと同じく「クレッシュ」と呼ばれるキリスト生誕の場面などを再現した人形などを飾ります。
フランスではイルミネーションが街中の建造物や自然を美しい光で照らします。特にパリのイルミネーションは世界的にも有名です。ライトアップフェスティバルも開かれ各都市でイルミネーションの美しさを競い合います。

◆イギリスでは、宗教改革で一時クリスマスが途絶えたことがありますが、現代ではヨーロッパと同様に全土的に親しまれています。最近ではクリスマスの市も各地で多く開かれるようになったそうです。
25日は休日となり、翌日の26日も「ボクシングデイ (Boxing Day)」 として公休日になっています。
日本の年賀状のようにクリスマスカードを書き交換をし、1月6日頃までクリスマス期間として休暇を家族と過ごします。 ローストターキー、クリスマス・プディング、ミンスパイなどの代表的料理が食卓を彩ります。
12月25日には女王陛下によるスピーチもあります。

◆北欧ではクリスマスを、「ユール (Yule, Jul)」と呼び、 この地ならではの寒く長い夜をクリスマスイルミネーションを灯しながら過ごします。
クリスマスからエピファニーまでの12夜の間燃やされる特別な薪である、ユールログを燃やす習慣があり、ハーブでいぶして煙を出して魔除けをしたり、灰で厄除けや占いをしたりします。
この薪をかたどったユールログ・ケーキ (フランス語で「ブッシュ・ド・ノエル」Buche de Noel) はクリスマスケーキとして日本でも知られています。
各地域の煮込み料理やクリスマス・パイ、クランセ・カーケ、ジンジャー・クッキーなどの料理が食卓を飾ります。
ユールクラップというプレゼント交換や、ユールブックと呼ばれる麦わらで作られた動物のオーナメントもあります。
北欧ではサンタクロースではなく、森の中に住むクリスマスの妖精がプレゼントをくれると言われています。 この妖精をスウェーデンでは「ユール・トムテ(jultomte)」と呼びます。「トムテ」とはよく童話などに出てくる「髭を生やしたおじいさん」、「ユール」は「クリスマス」のことを言います。また、デンマークではこの妖精を「ユール・ニッセ」と呼びます。

◆日照時間が短く極寒のアイスランドでは、 13人のサンタクロースが山に住んでいて、12月2日から毎日1人ずつ順番に街へ下山してきます。
昔の農夫のような格好をしていて、一人ずつが色々ないたずらをします。中にはアメリカの影響で赤い服のサンタクロースもいます。クリスマス・イブの12月24日に最後の13人目のサンタクロースが山から下りて、全員そろった25日にクリスマスをお祝いします。そして、また1人ずつ山へと帰っていき、最後の1人が山へ戻る1月6日までクリスマスが続くんだそう。
また、アイスランドではプレセントに洋服をもらわないと、巨大なクリスマスの猫に食べられてしまうと言われています。プレセントはイブのディナーの後に皆で開けます。私がアイスランドの子供なら恐くてきっとプレゼントを開けられません・・・。

◆南部バイエルンとオーストリアでは、 12月24日には「クリストキント(Christkind)」という天使がクリスマスツリーの下にプレゼントを置くと言われています。何だかメルヘンですね~

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